バイク乗りにとってのオシャレ自転車とは?
尾道ー自転車好きには言わずと知れた、「しまなみ海道」につながるサイクリストの街だ。
この、少しひなびた風情のある街を散策すると、目を引く自転車たちがたくさんいることに気が付く。
ロードバイクが多数を占めるが、そのほかに、街に溶け込んだ小綺麗で垢抜けた自転車たちが他の街よりも多いことに気が付く。
それらに出会うたび、バイク好きの心がひりひりと刺激され、楽しい気分になる。
沢山のオシャレな自転車に接して、あらためて思う。
「オシャレな自転車」と「普通の自転車」との違いは何なんだろう?
ここでは、ICAN JAPANのスタッフが、オシャレな自転車について、考えを巡らせてみることにする。異論、反論は承知の上である。
しかし、これは言わば番外編。肩の力を抜いて気楽にお付き合い願いたい。
オシャレな自転車を決定付けるポイントはいろいろある
確かにそうだ。「オシャレ」と一口に言っても十人十色だ。
まず、このページを見に来てくれている人を特定しよう。
「スポーツバイクのオーナーで、普段の足に乗る、ちょっとしゃれたバイクを考えている人」 これだ。
同時に、客観性も必要だ。女性の目も気になる。
「ショップに飾っておけるバイク」 これを満たすものなら、誰もが納得できるオシャレなバイクのはずだ。
さらに必要なオシャレ要素を書き出してみよう。
「ポジションとして、スポーツバイク以下、ママチャリ以上」
「実用性を加味しながら、生活臭のないもの」
「形・色が素敵であるほかに、細かなパーツ(バスケット、ハンドル、サドル、スタンド、フェンダーなど)にデザインのすぐれたものをあしらっていること」
「シンプルであること」
「一見オシャレでも、品質が良くないもの、重すぎるものは除外すること」
「ちょっと力が抜けていること」
このあたりが前提条件だ。
では、オシャレな自転車として、可能性のあるものをタイプ別に挙げていこう。
スポーツバイク
本来、スポーツの機材として存在するロードバイクやMTBは、ストイックに機能を追求した純粋さゆえに、「スゴイ」「カッコイイ」といった形容詞が似つかわしい。
決して「オシャレ」という言い方はしない。
しかし、生活の道具として上手にそれらを取り込むと、「オシャレ」な要素が加わる可能性がある。スポーツバイクをオシャレに変えるためのキーワードは「脱力」である。
スポーツだ!なんて考えずに、力を抜いてそれらを日常的に扱うと、あら不思議、オシャレになってしまう。
BMXにも充分その要素はある。
ピストバイクは本来トラックレース用の機材ではあるが、少し違う要素があるので、項を改めて後述する。
そうそう、忘れていた。
古いロードバイク(80年代頃)は、スポーツ機材としてのアブラが抜けきっていて、今や、すさまじくオシャレである。
参考記事 : スポーツ自転車 入門編
クロスバイク
クロスバイクはオシャレ自転車の最有力候補のひとつである。
実用車としてみた場合、機能性の高さがにじみ出ていて、そのままで充分オシャレである。
しかし、カラーリングには気を付けたい。おそらく、これがクロスバイクをオシャレにするか、汗臭いものにするかの分岐点である。
サドル、ハンドル、スタンドなどの細かなパーツに凝ると、さらにオシャレ度は増すだろう。
スポーツタイプのミニベロ
クロスバイクと並んで、オシャレ候補No.1である。
形、色、ホイールサイズなどの選択肢が豊富で、選ぶ人のセンスで決まることになる。
「スポーツタイプ」とあえて指定したのは、ママチャリタイプや廉価版のミニベロも存在し、それらは機能、品質に裏付けされた凄みが感じられないからだ。
折りたたみ式を選び、ドライブの先の更なる歓びを満喫するもよし、速いミニベロでロードバイクを追いかけるもよし、立ち寄ったカフェの店先に停めて素敵な愛車を眺めるもよし、楽しみ方は無限にある。
参考記事 : ミニベロにはどんな種類があるのか?
ピストバイク
先にも書いたが、ピストバイクは、本来トラックレース専用のバイクである。
その姿が素晴らしく美しいため、街乗り用に使う人が現われた。現在では、レーサーレプリカとして、街乗り用のものが手に入る。特に競輪で用いられるようなクロモリフレームのものはきわめてシンプルでクラシックな趣もあり、カッコよさを突き抜けたオシャレさに満ちている。
シングルギアであること、乗車姿勢がスポーツバイクのそれであることなどから、万人に薦められるものではないが、ロードバイク乗りなら違和感はないだろう。
フレームデザインやハンドル形状で雰囲気が変わるので、充分な吟味が必要である。
参考記事 : ピストバイクが気になる人へ
シティサイクル
スポーツバイクの形状を模したもの、ママチャリにデザインを加えたものなど千差万別だが、手頃な値段で買える、というその一点においては等しくあてはまる。
スポーツバイク乗りとしては、重い車体、クオリティーの低いパーツなどのために、素直に「カッコイイ」「オシャレ」とは言い切れないものがある。
しかし、形状やカラーリング、ひと味違うパーツなどを工夫したものは、バイク好きの目を惹き付けるものもあるのは事実である。
最後に
普段乗りの自転車に「オシャレ」を求めるのは、ファッションにこだわるのに近い感覚がある。その感覚は人それぞれではあるけれど、客観的なバロメーターとして、「ショップの飾りとして置けるか?」というのは、文中で述べた通りの大きなポイントである。
また、せっかくのオシャレなバイクに泥臭い服装で乗るのも残念なものだ。
その意味で、これは、スポーツバイクとは別の感覚で神経を研ぎ澄ます楽しい遊びだ。
たまには力を抜いて、機能とは別の世界にある「オシャレ」という価値観の世界に飛び込んでみるのも面白いものだと思うが、いかがだろう。