ロードバイクの安全性について考えてみよう

によって nicole hu で February 11, 2021

ロードバイクに乗る、というのは、一種スポーツマンとしての矜持を試されているところがあります。したがって、自己の安全性、他人への安全気配り、マナーなどの面にも非常に気を遣うものです。

しかし、それを支えているロードバイク自体の安全性については、あまり深く考えることもなかったような気がします。

ここでは、「ロードバイクの安全性」 についてあらためて見ていきたいと思います。

 

1、ロードバイクには注目すべき技術がふんだんに使われている!

 

たとえば、他のジャンル(クルマ、バイクなど)と比較してロードバイクを見た場合、最先端の技術が惜しげもなく使われていることに驚きを覚えます。

機械部分の高度な繊細さ、フレームの軽量化や強度を最適化した設計などなど、数え上げればキリがないほどです。

 

しかし、ここで疑問が生じます。

バイクは、クルマのようにシェルに包まれているわけではないので、リスクを伴ったスポーツであることに間違いありませんし、だからこそ、そこに抗しがたい魅力があるわけですが、性能をここまで追求していて、果たして安全性は考慮されているのだろうか、という疑問です。

 

安全性には、能動的安全性と受動的安全性があるのは皆さんご存じの通りです。

そして、能動的安全性のキモである操縦性・安定性に関しては、ロードバイクはなかなかのモノであることは言うまでもありません。

したがって、ここでは主に受動的安全性について考えてみたいと思います。

 

2、ロードバイクの安全性に基準はあるのか?

 AERO A9

① UCIのルール

もっとも有名なのはUCI (国際自転車競技連盟)のルールでしょう。

これは、レース出場に関するルールを詳細に定めたものです。

 

この中で、皆さんがよく知っているのは6.8kgの逆重量制限です。

バイク本体の軽量化を6.8kgまでに制限したもので、その趣旨は、過度な軽量化を防ぎ、安全性を最重視することにあります。

このようにUCIでは、競技ルールだけでなく、バイク本体の安全性についても事細かく決めており、それは、市販のロードバイクにも大きな影響を与えています。

 

したがって、UCI基準に合致することは、製品の品質を判断する大きな目安となります。

私達ICANの製品造りもUCIを前提としたものであることは言うまでもありません。

 

② ISO4210

他にも、BSI(英国規格協会)とDIN(ドイツ規格協会)を統合したEN規格や、日本のSBBA(スポーツ自転車協会)などの品質基準がありますが、現在もっとも充実した安全基準として、ISO4210があげられます。

これは、ロードバイクの構造全体にわたった基準を設けているもので、詳しく見てみたいと思います。

 

3、ロードバイクの安全性:フレーム

 

ISO4210では、フレームの以下の部分について基準を設けています。

 

・ フレームとフロントフォークアセンブリ 荷重落下・フレーム落下両方の衝撃試験

・ ペダル荷重による疲労試験

・ 水平力による疲労試験

・ 鉛直力による疲労試験

・ ハンドルアセンブリの静的強度試験・安全性試験

・ ハンドルバーとステムアセンブリの疲労試験

・ フロントフォークの静的曲げ・動的衝撃・曲げ疲労試験

 

なかなかのメニューであることがお解りいただけるでしょう。

各部の金属疲労をチェックするとともに、特に前方衝突に対する強度を重視していることが読み取れます。

ママチャリのような自転車にも基準がありますが、ロードバイクの基準はそれよりも厳しく、特に安全性のチェックは入念におこなわれています。

 

4、ロードバイクの安全性:ホイール

 

ホイールに関しても、ISO4210では次のように定めています。

 

・ ホイール・タイヤアセンブリ・クリアランス

・ 静的強度試験

・ ホイール保持の状態

・ クイックレリーズ機構のチェック

・ リム・タイヤ・チューブのチェック

 

ホイールに関しては、静的試験だけで、動的試験の指定がありませんが、信頼のおけるメーカーではUCI規定も考慮しながら、さらに多種の動的試験をおこなっているのが通例です。

 

5、ロードバイクの安全性:ブレーキ

 

ブレーキについてのISO4210のチェック項目は次の通りです。

 

・ 手動ブレーキシステム・強度試験

・ 制動性能試験(ドライ・ウエット)

・ 耐熱性試験

 

これは、予想通りの内容ですが、雨天時の制動基準も定められていることは特筆に値します。

 

6、ロードバイクの安全性:ハンドル

ハンドルまわりの項目は以下の通りです。

 

・ ステアリングアセンブリ・静的強度試験と安全性試験

・ ハンドルバーとステムアセンブリ・疲労試験

 

ここでも単なる強度だけでなく、安全性の項目が入れられているのは心強い限りです。

 

7、ロードバイクの安全性:ペダル/BB/クランク

ペダル/BB/クランクに関しては、以下のようになります。

・ ペダル・BBアセンブリ・静的強度試験

・ BB衝撃試験

・ 駆動システム・静的強度試験

・ クランクアセンブリ・疲労試験

 

BBの衝撃試験というのは頼もしい限りです。

これらにメーカー独自の動的試験を加えることで、BBまわりの安全性は確保されるとみていいでしょう。

 

8、ロードバイクの安全性:サドル

これがISO4210最後の項目になります。サドル関連です。

・ 静的強度試験

・ サドル/やぐら・疲労試験

・ シートポスト・疲労試験

・ シートポスト・静的強度試験

 

シートポストの強度も大切なポイントです。メーカーでは、完成車に実際の走行試験が加えられるのはいうまでもありません。

 

9、安全性の番外編:ヘルメットとライト

① ヘルメット

ヘルメットではまずフィット感が重視されるところです。

日本人の頭に合わせたアジアンフィットのものがオススメですが、やはり、これは店頭で実際に試して選ぶべきでしょう。しっかりしたメーカーのものであれば、安全性には問題ありません。

 

軽量さも重要です。長時間の快適なライディングでは無視できない点です。高価なものほど軽量であるとみていいでしょう。200~250g程度であれば問題ありません。

 

ベンチレーションも高価であるほど様々な工夫が凝らされていますが、通気性の良さは空気抵抗を減らすことにもなるため、レースなどでは重視したいところです。

レースに使用するには、JFCシールの付いたものが必要です。さらにCE EN1078規格はより厳格です。

 

② ライト

夜間とトンネル内での安全性を考えた場合、軽量であるとともに一定の光量が必要です。

フロントは、前方10mが確認できるもの、400cd(カンデラ)以上、または400~1000lm(ルーメン)の光量が望ましいところです。

リアは、後方100mから確認できる赤か橙のもの。10~15lmの明るさで、常時点灯できるもの。リフレクターと上手に併用することをおすすめします。

 

10 まとめ

これまでに見てきたように、ロードバイクの安全性について、メーカーで相当配慮がなされているのがおわかりでしょう。

あとは、適切な整備と走行時の安全への配慮、つまりライダー自身が気を付けるべきことです。

最善のライディングで、充実したバイクライフをお楽しみください。

ICANも応援しています。

 

 

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