折りたたみスモールバイクは遊べるか?
よく晴れた休日、クルマで一人旅に出かける。
オープン2シーターのトランクに、折りたたんだ真新しいスモールバイクをおさめ、クルマの屋根を開ける。
ガレージの段差からクルマは滑り下り、心地いい排気音を響かせながら海の方に鼻先を向ける。
こうしてボクの至福の時間が始まった。
これから、どのようにしてボクがスモールバイクを手に入れることになったかをお話しようと思う。
なぜスモールバイクなのか?
ロードバイク乗りのボクはクルマ好きでもある。
オープン2シーター1台ですべてをまかなっているボクは、ロードバイクを積んで出かけることは不可能だ。輪行の旅もするけれど、気が向いたところでフラッとクルマから取り出せるスモールバイクには、また別の楽しみがあると思っていた。
臨時収入が入ったのを機に、ボクは折りたたみのスモールバイクを買うことに決めたのだ。
楽しかった折りたたみスモールバイク選び
① 資料を集めてみて驚いた
ホイールの大小、スポーティーなものから街乗りのもの、カッコいいのからカワイイのまで、バリエーションはロードの比ではない。これは手ごわいぞと思った。
ボクの予算は10万円、これだってかなり奮発した気分だ。
折りたたみ可能で、軽量、スポーティーなものを探すことにした。
② ホイールサイズをまず決めた
クルマの狭いトランクに載るという条件はあるものの、ホイールサイズはスモールバイクとしては大きめの20インチサイズが好ましいと思った。
調べてみると、20インチには2種類の規格があることがわかった。
406と451というサイズで、これは装着タイヤのビード部の直径のミリ表示だ。タイヤ内径にほぼ等しい。
つまり、同じ20インチと言っても45㎜もの違いがあることになる。
大きい451サイズはひときわスポーティーなモデルに用いられているようだ。
こうして、たくさんあった選択肢の中、ホイールサイズを決めたことで、候補は一気に絞られて来た。
③10万円で買えるスモールバイク
ところが、ちょっと困った問題が出てきた。
魅力的なブランドの中には10万円では手の届かないものがかなりあったのだ。
アレックスモールトンは当然として、ブロンプトン、バーディー、タイレルなどには、10万円で買えるものなどどこを探してもない。
リーズナブルなところとして、ダホン、ターン、ルノー、ブリヂストン、KHSなどがあげられる。もちろん、これらのメーカーも魅力的なモデルをたくさん揃えている。
④スモールバイクに変速機は必要か?
スモールバイクだって、軽量の方がいいに決まっている。
しかも、変速機のあるなしで2kg近い差があることがわかった。変速機がなければピストバイクのようなダイレクト感が味わえるような気がする。脚力を鍛えるためのきっかけにもなる。(かもしれない)
これは悩ましいところだけど、実際に20インチのモデルを探すと、ほとんどが変速機付きとなってしまうことがわかった。
⑤ 折りたたみのメカニズムは多様
横に折れ曲がるもの、縦にくるんと回っておさまるもの、各社それぞれの知恵の競い合いだ。それを丹念に見ているだけでコーヒータイムは終わってしまう。
クルマのトランク収納であれば、縦・横・高さが合えば積めてしまうので大した問題とならないが、輪行するのであれば、各部の出っ張りや車輪の位置など丹念な検討が必要だと思った。
⑥ スモールバイクは遅いのか?
ここで、今更ながら考えてしまった。
以前、ポケットマネーで買ったバイクは悲しいほど走らなかったのを思い出したからだ。
とはいえ、2万円と10万円ではモノが違うのは明らかだ。
そこで、資料の得られるモデルのギアをチェックしてみた。
451ホイール付の、あるモデルでは、フロントのギアに53-39Tという勇ましいものが付いているではないか!
最近のエントリーロードバイクの大半が50-34Tといった、これより軽いものが付いているのだから、タイヤの小ささをギアで補おうという意図がアリアリだ。
しかも、リアは11-32Tというロードバイクと変わらないものだ。
これは、ウワサ通り速いかもしれない!
⑦ 決めた!
素直に変速機付きのものを選ぶことにした。
ホイール径は451の20インチ。
折りたたみのスモールバイクは、フレームサイズが選べないことが多い。多少のガマンは必要だろうが、平均的日本人体形のボクにとっては、大した問題にならないだろう。
あとは、色を決めるだけだった。
残念ながら、ボクの選んだモデルをここでお伝えするわけにはいかないが、たぶんキミの考えるモデルに近いと思う。
スモールバイクのカスタム
ギア比のことは一番気になるところで、用途によってはギアの変更もあり得ると思う。
タイヤも様子をみて他のブランドの良質なものを試してみたいし、ICANのバトンホイールなどを履かせたらさぞかしカッコいいだろうなと夢想してしまう。
ここはひとつ頑張って稼がねば。
その他、サドル、ハンドルまわりの交換などはロード乗りのボクにはお手のものの変更だ。
ボクの選んだモデルは機械部分がブラックなので、他のパーツを合わせやすい。
スモールバイクには、ロードと違って決まったセオリーがないのが素晴らしい。
さて、
家を出発してから、ボクのクルマは海岸沿いの村を通りかかった。
クルマを停め、トランクを開け、コンパクトにおさまったスモールバイクを取り出す。
バイクは簡単に組みあがり、おもむろに海に目をやる。
タンカーが沖を進むのが見える。その巨大さにしばらく見とれてしまう。
それから我に返り、バイクにまたがる。
村の路地を抜けると、その先に小高い丘があった。
コイツでいっちょう登りに挑戦してみるか、ボクは、ひとり、そうつぶやいていた。
最後に
いつもと違って、ストーリー形式でスモールバイク(ミニベロ)を紹介してみました。
街には、ロード乗りから見ても魅力的なミニベロバイクがたくさんあります。
今回の20インチ451ホイールの某モデルなどは、ロードをカモれるほどの瞬発力があります。
折りたたみスモールバイクは遊べるか? という問いに、自信をもってYESとお答えします。
【参考記事】ミニベロ性能アップの決め手:カーボンホイール