高いクロスバイクと安いクロスバイクの差とは
人は6つの要素を比べていると言われています。
色、形、柄、機能、サイズ、そして、価格の6つです。
その中でも、価格の要素は大きいので、安い自転車は魅力的に感じてしまうかもしれません。
ところが、「価格に対して質」を示すものがありませんので、価格に対して良い物だったか、つまり、お買い得かどうかは分からないのです。
筆者が2万円台のクロスバイクを実際に買って、乗ってみた感想をお知らせします。
メッキやコーティングが弱い
まずは、メッキとコーティングについてお知らせしなければなりません。
メッキとは違う材質の金属を使って、表面の状態を変質させたものです。
誤解を恐れずに言うとしたら「きれいな錆」です。
コーティングは樹脂などが多いのですが、表面に薄く塗ることです。クリア塗装などもコーティングなので、その方が分かりやすいかもしれません。
さて、それを踏まえて、乗り始めて1か月くらいで分かり始めるのが、メッキやコーティングの弱さです。
メッキは、少し専門的な方ならば、見た瞬間分かるのですが、筆者レベルではメッキ厚が薄いとか、きれいじゃないとかは分かりません。
しかし、コーティングが薄いのはすぐに分かってきます。
何もせず、雨にもさらさず乗っていたのですが、ほんの1週間程度でコーティングがはがれ始め、黒くなってきました。
触ったりもしていないのですが、みるみる汚くなってきました。
これはサンドペーパーで磨けば取れるのでしょうが、コーティングがなくなるので、自分で再度コーティングする必要が出てきます。
また、磨く際にメッキまで取ってしまったら最悪です。
写真の銀色の部分は「ニッケルメッキ」という種類のメッキだと思いますが、一般的にメッキ厚は30μm程度です。サンドペーパーで付けた傷は50μm~100μmになるでしょう。
あまりメジャーな単位ではないので、補足しておくと、髪の毛1本の太さが60μm~80μm程度です。
μmは昔「ミクロン」と呼ばれていた単位なので、一定以上の方にはそちらの方が馴染みがあるかもしれませんね。
大事に乗っていても、自然とこのようなことが起きてくるのは、安い部品を使っているからに他ならないです。
錆やすい
上記でもお知らせした様に、メッキが薄いと錆びてきます。
こちらはスプロケットですが、油を塗っていてもどんどん錆びてきます。
後ろの方に「SHIMANO」と書かれたスプロケットが1枚だけあります。
恐らくこれはシマノ製でしょう。
そして、それよりも前は他社品です。
シマノ製は安くても一定以上の性能があるのか、同じ条件でも全くと言っていいほど錆びていません。
それに足して、手前側のスプロケットは一様に錆びています。
初期整備が弱い
お店や工場にはよると思いますが、とりあえず、組み立ててあれば大丈夫という思想が見え隠れします。
その一つが、変速機の調整です。
自分で手を入れないと良い位置で収まらなくて、チェーンとスプロケットが擦れる音が気になってしょうがなかったです。
次にブレーキ、あんまりよく利きませんでした。
こちらも自分で一度バラして、再度組み直して使っています。
そのまま乗るには怖すぎました。
クランクの軸は、一度全部バラさないと完全に音は止まらないようです。
以前の記事で音止めについてお知らせしましたが、本当に一時だけのことでした。
本格的に手を入れないと、音止めは出来なさそうです。
後は、初期整備の項目に入れていいのか分かりませんが、ボルトがやたら長い物のことがあります。
ボルトが長すぎることに良いことは何もありません。
突起物となって、部品や服、身体など痛めてしまう可能性が出てきます。
適正長さのボルトを買いに行く必要が出てくるし、締め直す必要も出てきます。
部品のグレードが低い
部品のグレードが一様に低いです。
例えば、シマノ製のブレーキはグレードが高い方から、DURA-ACE/ULTEGRA/105/TIAGRA/SORA/CLARISなどがあります。
DURA-ACEとCLARISをブレーキシューだけの価格だけ比較してしまうと、DURA-ACE2万円、CLARIS2千円という感じです。
既に10倍の価格差がありました。
自転車には当然、前後にブレーキが付いていますので、ブレーキシューだけで4万円と4千円という圧倒的な価格差が出てきました。
ブレーキは中間の105以上がいいとされていますので、105もブレーキシューだけの価格を調べると、大体8千円前後になるみたいです。
フレームも当然、材質で価格差が生まれますが、それ以外にも部品一つ一つに品質差、価格差が生まれてきます。
結果、置いておくだけでどんどん錆びる、整備不十分な低品質な製品と、高級素材だけど、きちんと組まれて安心な製品に分かれてきてしまうのです。
そして、ある程度まともな製品を選ぶと、ロードバイクならば10万円、クロスバイクならば5~8万円くらいのものを選ばないと、逆に損してしまうことがあるのです。
部品の質が悪い
ボルトの質なども見ていると、メッキが薄いものが使われていたりして、錆が早いです。
もちろん、毎回油をさすなどすればある程度何とかなります。それでも現実的にはそんなことはしないと思うので、錆はかなりの頻度で発生します。
筆者がICANの完成品を見て思ったのは、部品のグレードが良いこと。シマノ製が多くて好印象でした。
ぜひ、あなたの厳しい目でもチェックしてみられてみてください。
ICAN日本倉庫にあるカーボンホイールのジャンル
結論
安い自転車は安いだけの理由があります。
毎日乗るような自転車は、それなりに良い物に乗られることをお勧めします。
その分、愛着も湧きますし、長くいい状態で乗ることができます。
外部ライター:奥野 晃一