自転車のタイヤの空気圧が高すぎるとどうなるのか
空気を入れれば軽くなるので、誤解が生じてしまいます。
「空気は入れられるだけ入れた方が漕ぎ抵抗は少なくなるのでは」という誤解です。
ここでは、自転車のタイヤの空気圧が高すぎるとどうなってしまうのかをお知らせします。
タイヤの適性空気圧
自転車のタイヤには適正な空気圧があります。
実際には、チューブに空気を入れるのですが、チューブはタイヤの中に入ってしまうので普通では見えません。
そこで、タイヤに適正な圧力が書いてあります。
ちょっと面倒なのは、一般的に4つも単位があるのです。
・bar(バール)
・PSI(プサイ、ピーエスアイ等)
・kPa(キロパスカル)
・kgf/cm2(キログラムフォースパー平方センチメートル)
国ごとに使われている単位が違うので、製造国や輸出国でメジャーな単位が書いてあることが多いです。
ちなみに、日本ではSI単位のkPa(キロパスカル)が標準となっていますが、お肉屋さんなどに行って、「豚コマ20N(ニュートン)ください」などとは言いません。
「豚コマ200g(グラム)ください」というのは分かると思います。
これは工業単位というもので、昔から日本で一般的に使われていたものです。
そして、現在でも主流となっています。
ただ、機械系や建築系ではkgなどの工業単位で話をすることは少なく、N(ニュートン)などのSI単位で話をすることがほとんどとなっています。
誤解としては、よく「ミニベロの適正圧力はどれくらいですか?」とか「ロードバイクだとどれくらいが普通ですか?」と質問されることが多いです。
実は、タイヤは車種ではなくタイヤの製品ごとに指定されている圧力が違います。
使われている材質なのか、タイヤの径や幅なのかは分かりませんが、同じ径でも指定されている圧力が違うのは間違いありません。
そのため、上図のように例を挙げることはできるのですが、「普通どれくらい」というのは中々答えにくい質問となります。
適正空気圧にも範囲がある
筆者が知っている限りでは、空気圧の記載は2つ以上の単位で書かれていることがほとんどです。
そして、範囲が指定されている場合と、上限が指定されている場合があります。
ある程度以上の空気圧がないと車道から歩道に上がる程度の段差でリム打ちしてしまいパンクしやすくなってしまいます。
タイヤがつぶれた状態で乗る方は少数だと思いますので、常識の範囲で○kgf/㎠~○kgf/㎠としている場合と、上限を決めて○kgf/㎠以下としている場合があります。
考え方の違いなので、それぞれに違いがある訳ではないと考えていいでしょう。
範囲指定の場合は、上限の7割くらいに下限が設定されていることが多いようですので、上限値を超えない範囲で空気を入れていれば問題ないでしょう。
また、空気はある程度の期間で少しずつ抜けていきます。
定期的にチェックすることをおすすめします。
特に決まりはありませんが、経験則で言うと以下を参考にされてください。
軽快車、シティサイクル・・・7日に1度
ミニベロ・・・4日に1度
クロスバイク・・・6日に1度
ロードバイク・・・5日に1度
毎日乗り、通勤・通学で5km以上乗るという仮定での参考値です。
大体週末ごとにちょっとだけでもチェックすればいいと思います。
スポーツ車のタイヤ幅は狭い
ロードバイクやクロスバイクの場合、タイヤの径は700(27インチ相当)で幅は25とか23とかが多いようです。
単純に考えてタイヤの幅が狭く、地面との接地抵抗が少なくなっています。
その昔、地面との接地抵抗は少なければ少ない方が良いという考えだったので、タイヤはどんどん細くなっていき、23が主流という時期もありました。
最近ではある程度以下だとグリップ力が無さ過ぎて逆に良くないという考えも出てきています。
接地抵抗とグリップ力とは結局同じものですから、「ちょうどいい」がどこかにあるはずなのです。
25でもママチャリなどと比べると十分幅は狭く、抵抗は少ないので、この辺りは好みの世界だと思います。
タイヤの空気圧が高すぎるとどうなるのか
どちらも上限は指定されているので、それを超えないように空気を入れれば問題ないのですが、誤解して「空気はたくさん入れた方がペダルは軽い」と思ってしまい、空気圧も見ずに空気を入れていると最悪バースト(タイヤ破裂)の危険性があります。
特にタイヤが劣化してきたときに危険です。
筆者も10年以上前にやらかしたので、一度見たらそのような失敗はしなくなるでしょう。
劣化したタイヤは裂けやすくなってきます。
その状態で、内側から想定以上の力が加わり続ける訳なので上図のように内側からチューブがはみ出てタイヤを裂くようなことが起きてしまいます。
これが走行中に起こると、チューブも破裂して、かなり危険です。
日ごろからタイヤのチェック、空気圧のチェックは怠らないようにしたいものです。
ライター:奥野 晃一