ロードバイクのフレームはなぜダイヤモンド型なのか?

すべての工業デザインにおいて、真に革新的な変革というものはめったにありません。

その稀有な例として、携帯電話→スマートフォンがあげられるかと思いますが、それはともかく、では、ロードバイクのデザインで、過去に革新的な変革はあったでしょうか?

残念ながら、ごく初期のものを除き、ロードバイクのデザインは大きく変わっていません。

それは、なぜなのか? 様々な面から検証してみると同時に、現在のフレームのトレンドを考えてみたいと思います。

 

 

1 ロードバイクフレームには似た形状が多い

フレーム素材が、クロモリの時代を経てアルミやカーボン主流に変わったことで、フレーム形状の可能性は大きくひろがりました。とくに、カーボンは自由な形状がつくれるうえに、強度においても、剛性の方向・強さ、弾性、靭性など自由自在です。

 

しかし、ロードバイクのフレームは相変わらずダイヤモンド型ばかり。とんでもない方向に構造材を使ったものやギョッとするような奇抜なものなど、まず見ることはありません。

 

なぜでしょうか?

 

2 UCIという存在

世界の自転車レースを統括する存在のUCI(国際自転車競技連合)ですが、レースに限らず、自転車プロダクト全般に隠然たる影響力を持っています。逆重量制限の6.8kgルールは有名なところですが、フレーム形状についても、実は詳細な決め事があるのです。

 

たとえば、過去に3:1比率ルールというものがありました。フレームパイプの縦横比が3:1を超えてはならない、というもので、現在では「8㎝の箱の中に納まる」というものに換えられていますが、実質は変わりません。

 

そして、フレーム形状についても、「(ダイヤモンド型以外の)異形のフレームは使用してはならない」 という規定が加わりました。メーカー間の技術格差による、レースでの不公平をなくすのが目的だったと考えられています。

ロードバイクはレースを前提としたもの (あるいはレースを憧憬するもの) である限り、UCIの規定は決して無視できません。

 

「ロードバイクのフレームはなぜダイヤモンド型なのか?」という問いに対するひとつの、しかし大きな解答がここにあったというわけです。

 

【参考記事:UCIについて知っておくべきこと

 

3 現代のロードバイクのフレーム形状

ダイヤモンドフレームが標準となった背景には、UCIルールのほかに、実質的な面があげられます。

 

パイプを三角形に組む、というのはいわば黄金の形状であり、高い強度と軽量化には必然の形だったことがその理由です。さらに、乗り手に合わせて調整がしやすいという点も見逃せない大きなメリットでした。

 

ところで、現代のロードバイクフレームを強いて分類すれば次の2つの流れが考えられます。

 

① ロード・グラベル・シクロ、そしてエアロ

UCIのレースを前提とした大多数のロードバイクはこの範疇に入ります。材質により形状に多少の違いはありますが、従来のイメージを大きく変えるものではありません。

また、エアロバイクといえども基本形状はダイヤモンド型を踏襲します。あくまでもUCIルールに則りながら、フレーム形状、断面形状を思い切った空力設計としているのが特徴です。

 

 

② トライアスロンバイク

トライアスロンレースはUCIの関与を受けないため、これに使用されるTTバイクには、かなり大胆な形状のものがあります。シートチューブやシートステーの無いものなどが存在し、通常のダイヤモンド型を見慣れた目には新鮮に映ります。

近年の技術革新により、実は、ダイヤモンド形状にとらわれず、さらに速いフレームを造りあげることが(重量増などの条件付きとはいえ)可能となっているのは明白な事実のようです。

 

では、ダイヤモンド型を踏襲したロードバイクの最新のトレンドはどうなっているのでしょうか。これには、カーボン技術が進化して自由な設計が可能になったことが大きく関係しているようです。それが、メガチューブ化です。

 

4 メガチューブ化

自転車全体の力をもっとも受けるフレームの部位はどこだと思いますか?

正解は、ご存じダウンチューブです。

近年のロードバイクを見れば、ダウンチューブの太さが従来とは比較にならないことがわかります。この、太く、しかし肉厚は薄く、というのが「メガチューブ」の考えです。

 

これに呼応し、ヘッドチューブとBBまわり、チェーンステー、そしてフロントフォークも太くなると同時に、トップチューブとシートステーはむしろ優美なほど薄く、しなやかな衝撃吸収構造となってきています。

 

こうした、メリハリのある構造はデザイン的にもプラスに働き、見るからに速そうな美しいルックスをまとうことに成功しています。

 

5 ホライゾンフレームとスローピングフレーム

かつてのクロモリフレームは、トップチューブが「ホライゾン」といって、地面と平行を保っていました。このホライゾンフレームの美しさは理屈を超えたものがあり、現在でも愛好者は数多いのですが、それはさておき、現代のフレーム主流はホライゾンからスローピングに変わっています。一部の愛好家向けのクロモリフレームでさえ、スローピングフレームは当たり前の存在です。

 

マウンテンバイクに触発されたスローピングフレームですが、これを採用することにより、フレームがコンパクトに造れ、軽量化、高剛性化が達成されるのです。さらに、スローピングフレームはシートポストの調整幅が大きくとれ、少ないフレームサイズのバリエーションで多くの体型をカバーできるようになったのです。

 

このスローピングによる「小さな三角形」の考え方はリアの三角(シートチューブ+シートステー+チェーンステー)にも反芻されています。シートステーとシートチューブの接合部を低くすることでリアの三角形を小さくすることが出来、高剛性を期待できるのです。あなたのロードバイクはどんな形状でしょうか?

 

6 ホイールベース

前後の車軸長をあらわすホイールベースについては、従来から、可能な限り短くするのがオンロードのロードバイクの一貫した設計方針でした。ロードバイクのタイヤは、前フレームのトライアングルに前後ともメリ込まんばかりに接近しています。こうすることで、重量面、剛性面に有利に働く、というのが基本的な考え方です。

 

しかし、短いことで得られるクイックなハンドリングとは相反して、ホイールベースは長いほど走行安定性は増します。そのあたりのバランスを、いかに各部の設計でうまく取るか、というのがフレームメーカーの腕の見せどころというわけです。

 

ちなみに、MTBやシクロ・グラベルなどでは、チェーンステーを長く、フロントフォークを寝かせることでホイールベースを長く取り、トレイルでの安定性を確保する設計がなされています。シンプルな構造に見える自転車ですが、実は奥深いものがあることに気付く瞬間でもあります。

 

7 フロントフォーク

ディスクブレーキが主流の時代を迎えましたが、ディスク化により制動時における挙動が変化したことで、フレームデザイン、特にフロントフォークの進化を促しています。すでにフロントフォークはカーボン化が本体フレームよりも進んでいます。その理由は、軽量化だけでなく、強度設計などが自由におこなえ、コンポーネントの進化に対処しやすいためと考えられます。もちろん、デザインの自由度も見逃せないポイントです。

 

最後に

ロードバイクフレームの奥深さが少しは伝えられたでしょうか? わずかなジオメトリーの違いが、走行感覚に違いをもたらすことにも気付いていただけたら幸いです。

 

アマチュアサイクリストは、多種類のバイクを乗り比べる機会に恵まれているとは言い難く、乗り味の違いにはなかなか気付きにくいものです。都市部で行われるメーカー合同の展示試乗会や、専門店での試乗車は、あなたのサイクリストとしての幅を広げてくれる絶好の機会になるでしょう。

そんなアクティブなサイクリストをICANは応援しています。Ⓗ

 

【ICAN公式HP : ICANロードバイクフレーム

 

  • Oct 27, 2021
  • カテゴリー: News
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