20インチホイール自転車が気になる理由
20インチホイール(タイヤ)の付いた小径自転車、別名ミニベロ、最近これが気になっている人が多いんです。
選択肢もたくさんあり、それぞれに魅力があるので、どれにするか困ってしまうほどです。
ここでは、20インチの本当の実力はどうなのか、リポートします。
1、20インチホイール自転車になぜ注目が集まるのか?
① 20インチは意外に速い
最大の理由は、その性能が侮れないレベルにあることです。
ロードバイクと20インチミニベロの性能を比較してみましょう。
実際のバイクを参考に仮想モデルを設定し、以下に理論上の数値を出してみました。
〈比較モデル〉
- ロードバイク700×25C ギア:フロント50T、リア11T~30T、クランク長170㎜
- ミニベロ20(451)×1.1/8ギア:フロント53T、リア11T~30T、クランク長170㎜
つまり、フロントのチェーンホイールのギア歯数だけが、ミニベロは53Tと大きくなり、スピードを稼ぐ仕様となっています。
まず、リアギアを両車共11Tに固定して、ケイデンス80rpmでクランクを回した時のスピードを比較してみましょう。
700Cが46.3km/h
20インチが37km/hとなります。
もちろん理論値ですが、20インチのスピードが意外に出ていることに気が付くでしょう。
では、ゆったりと定速巡行するには、ケイデンス70rpmとしたら、リアにどんなギアを使うでしょう。
計算値によると、
700Cが18Tで24.6km/h
20インチが15Tで23.6km/h
ということになります。
やはり、700Cのロードバイクはラクなギアが使えますが、20インチでも一緒にツーリングするのは不可能でない程度の差です。
実際にこの規格のミニベロで走ると、スピードの乗りもなかなかのもので、不安定な感覚もなく、中距離のツーリングなら難なくこなせてしまいそうな感じがします。
② 20インチは直進安定性に不満がない
小径車ゆえの直進性が気になるところですが、長めのホイールベースの採用、フロントフォーク角度(トレール値)の工夫などで、実際はまったく気にならないと言えます。
これが、小径車では最大サイズとなる20インチの良いところといえます。
③ 20インチは加速性が良い
小径車の出足の良さは特筆すべき点です。
ストップ&ゴーの多い街中での扱いやすさに大いに貢献しています。
④ 20インチは取り回しが良い
タイヤが小さいことで、乗っても押しても取り回しの良さが光ります。
収納スペースも700Cに比べ、ひとまわり少なくてすみます。
⑤ 20インチは折りたたみタイプが選べる
折りたたみバイクに至っては、保管スペースも劇的に小さくなります。
多少の重量増とはなりますが、よほどの性能重視派でなければ、ミニベロの特権ともいえる折りたたみ機能を選ばない手はありません。
⑥ 20インチは荷物の運搬性能が優れている
意外にも、すべての自転車の中で、ミニベロが圧勝できる点です。
タイヤが小さい分、荷物スペースが沢山とれることはもちろんですが、荷物を低い位置に置けることで、重心が低く、安定します。様々な専用のキャリア・カゴ・バッグを用意しているメーカーもあり、実用性の高さでもなかなかのものがあります。
⑦ 20インチはファッション性が高い
そのコンパクトな見た目から、女性には特にアピールするようです。
また、改造マニア?にとっては、実にいじり甲斐のあるバイクです。オシャレにドレスアップするもよし、性能を追求するもよし、しばりのない自由さはミニベロの特権です。
ここまでメリットばかりあげて来ましたが、強いてデメリットをあげるとすれば、快適性に少し劣り、700Cほどは長距離に向かないことでしょうか。
小径タイヤゆえに、空走状態のスピードの乗りがわずかに物足らないことも、長時間の走行では影響して来るでしょう。フレームが小さいことも快適性にはマイナスの要因です。
しかし、サスペンションを巧妙にあしらったモデルの場合は、700Cのリジッドの乗り心地よりもはるかに快適なものもあります。パワーロスの感覚は多少あるにせよ、です。
また、簡単に折りたたみできるメリットを活かして、長距離のツーリングを輪行と共に楽しんでいる人も多いのです。
長距離にも使用できるヘビーデューティさから、ミニベロの耐久性には問題がないことがわかります。実物を見ても、いいものは意外にがっちり造られていることに気付くでしょう。
ミニベロは、そのサイズから比較的小柄な人に向きますが、海外メーカーのものは高身長な人をも想定しているモデルが多く、試してみると納得できるでしょう。
2、20インチホイール自転車のタイヤサイズとは?
▲ICAN 20インチ451カーボンホイールディスクブレーキ
自転車のタイヤサイズはとてもたくさんの規格・種類があります。
20インチのタイヤも例外ではありません。大別して次の2つの規格があります。
① 406 HE規格といい、タイヤビード部の直径(ほぼ内径)が406㎜のタイプです。
▲ICAN 20インチBMX 406小径車カーボンホイールセット
20×1.5のようにサイズ表示されます。
太さのバリエーションが多く、快適性を重視して太めのタイヤが選ばれる傾向にあります。
折りたたみタイプに向いたサイズでもあります。
② 451 WO規格といい、タイヤビード部の直径(ほぼ内径)が451㎜のタイプです。
20×1.1/8のようにサイズ表示されます。
性能重視の車種に選ばれることが多く、ロードバイクに近い感覚が得られます。
3、20インチホイール自転車の価格帯
非常に乱暴な分類ですが、5万円前後クラス、10万円前後クラス、10万円超クラスに分けられると思います。これより安いものは実用自転車の域を出ませんし、ギア比が街乗りに特化しており、あまり走りません。
全体的に、使われるコンポーネントは、シマノのエントリークラスのターニーやクラリスが多く、105ともなると高級機の扱いです。
走行性重視の本格モデルを求めるなら10万円前後から選べるようになります。
4、まとめ
20インチホイール自転車の魅力が少しは伝わりましたでしょうか。
本文では触れませんでしたが、「気楽さ」という点も、ミニベロの大きなメリットのひとつです。
ロードバイクのようにウエアまで気を遣う必要があまりないため、メインバイクの座がミニベロに取って代わってしまったというケースさえあるほどです。
そして、もちろん、20インチよりさらに小径のモデルの中にも魅力的なものがたくさんあることは、忘れずにお伝えしておきます。
楽しく充実したバイクライフを! ICANはいつも応援しています。